授業科目名(和文) [Course] |
オリエント文化 |
授業科目名(英文) [Course] |
Orient World |
学部(研究科) [Faculty] |
共通教育/全学教育 |
学科(専攻) [Department] |
人間と文化の理解 |
単位数 [Point(Credit)] |
後期 2単位 |
授業概略と目標 [Course description and Objects] |
オリエント(エジプトや中東)という地域は、日本においては、パレスチナ問題や湾岸戦争、イラク戦争、昨今のアラブの春の迷走などの話題が目立ち、危険な紛争地域というイメージが強いかもしれない。しかし人類史という長い視野でみると、農耕牧畜の起源、文字の発明、都市文明の発祥、鉄やガラスの発明、アッシリアやペルシアなど巨大帝国の展開、いわゆるシルクロードを通じた世界規模の文化交流、ユダヤ教、キリスト教、イスラームという一神教の発祥など、現代社会の基盤となるさまざまな制度や技術、文化が生まれ、古代から現代に至るまで、世界的な影響力を及ぼしてきた地域といえる。本講義では、そうしたオリエントの歴史や文化を、先史時代にまで遡って概観する。そしてそのことが現在の世界情勢を正しくとらえるヒントになることを示したい。各回の講義テーマのキーポイントとなる、代表的な美術工芸品を1、2点示し、その作品が生み出された歴史的?文化的?技術的な経緯や背景を考える、という構成で講義を進める。 |
到達目標 [Learning Goal] |
1.オリエントの文化、歴史、美術を学ぶ 2.異文化理解の視点を育む 3.現在の中東情勢に関心を持つ 4.文化遺産の現代社会における意味を考える |
履修上の注意 [Notes] |
わかりにくかったり、疑問に思ったことなどを、講義中でも、講義のあとでも遠慮なく質問して下さい。 |
授業計画とスケジュール [Course schedule] |
1.オリエントの場所と自然環境?シリア オリエントという地域に対する関心を高め、土地の雰囲気を少しでも感じてもらえるよう、講師の研究フィールドであるシリアの街や史跡を紹介する 2.オリエントの場所と自然環境?トルコ オリエントという地域に対する関心を高め、土地の雰囲気を少しでも感じてもらえるよう、講師の研究フィールドであるトルコの街や史跡を紹介する。 3.オリエントの遺跡調査、オリエントの時期区分 オリエントでの遺跡調査の方法、調査団の日々の生活を紹介する。オリエントしの時間的枠組みを概観する。 4.旧石器時代1:人類の起源と拡散 テーマ資料:ネアンデルタール人が作った石器 アフリカで生まれた人類がオリエントに足を踏み入れたことが、人類が地球全域に拡散するきっかけとなった。我々現代人と、過去に存在し絶滅した人類種との根本的な違いについて、解説する。 5.旧石器時代2:定住化、農耕牧畜へのプロローグ 人類史の最大の活気でもある、農耕牧畜が始まる直前の様相を概観する。 6.新石器時代1:農耕牧畜の起源と宗教のはじまり テーマ資料:ムギを刈るための石器 濃厚牧畜が、いつ、どこで、どのように始まったのかを解説する。また農耕牧畜の開始と同じ頃、人々の心性面でも大きな変化があったことが指摘されている。 7.新石器時代2:土器の出現と儀礼の変化 テーマ資料:大理石製容器 オリエントで土器が出現する頃に、大きな社会の再編があった。集落構造や儀礼活動の変化から読み解く。 8.銅石器時代1:階層化社会へ テーマ資料:ウバイド式彩文土器 農耕牧畜社会が確立し、余剰産物が得られるようになると、資源を集約し、再分配するという経済活動がうかがわれるようになる。人々の社会に階層が生まれ、権力が出現する。 9.銅石器時代2:都市社会の誕生 テーマ資料:円筒印章 人類最初の都市は、メソポタミア(現在のイラク)で約6000年前に誕生した。なぜ、この時期にこの場所で都市化が起こったのかを解説する。 10.青銅器時代:古代メソポタミア文明 テーマ資料:楔形文字粘土板文書、ハンムラビ法典 メソポタミアで5000年前に文字が誕生して以降は文明の時代とされる。文字が出現した経緯を解説し、人類最初の文明、古代メソポタミア文明について概観する。 11.鉄器時代:巨大帝国、アッシリア?ペルシア テーマ資料:有翼鷲頭精霊像浮彫 3000年前には、人類最初の帝国が生まれる。そして、2500年前以降、メソポタミアの東、イランの諸王朝がオリエント世界を支配する。 12.ヘレニズム?ローマ時代:アレクサンダー大王、シルクロード テーマ資料:仏伝図浮彫、円形切子碗 アケメネス朝ペルシアがオリエント世界を支配していた前300年頃、ギリシアでアレクサンダー大王が即位し、ペルシアへ侵攻を開始する。オリエント世界にギリシア文化が流入し、オリエントの文化と融合し、新しい美術様式、ヘレニズムが生まれる。3世紀以降、ローマと中国を結ぶ大陸規模の文化交流網、シルクロードの東の果てに、日本は位置する。 13.イスラーム時代:イスラームとはなにか?—宗教、歴史、文化 テーマ資料:ラスター彩鳥首水注 7世紀、アラビア半島の商人、ムハンマドが創始したイスラームは、瞬く間に勢力を拡大し、新たなオリエント世界の支配勢力となる。日本ではとかく誤解の多いイスラームについて概観し、イスラームの美術や工芸文化について解説する。 14.いまオリエントではなにが起こっているのか 2011年に始まったアラブの春は、幾つかの国では独裁政権を倒し、オリエント世界に民主化のうねりが生じたかに見えた。しかしいまだ混乱は続いている。特にシリアやイラクでは、ISによる破壊活動が激しさを増す。無数の人々の生活や命が失われている背後で、多数の文化遺産も破壊を受けている。今、オリエントで何が起こっているのか、最新情報を踏まえて解説する。 15.オリエント美術館見学 14回目までの講義で取り上げた考古美術資料の実物を、オリエント美術館で鑑賞する。 |
成績評価方法と基準 [Grading policy (Evaluation)] |
出席10%、レポートの内容90% |
教科書 [Textbook] |
「西アジア考古学講義ノート」日本西アジア考古学会 各回ごとに図版資料を配布する |
自主学習ガイド及び キーワード [Self learning] |
講義の中で扱ったトピックのなかで特に興味を持ったことについて、もっと詳しく知りたい、学びたい場合は、講師に相談してください。参考文献を紹介します。 |
開講年度 [Year of the course] |
28 |